HIOKI
トップ
活用事例
機能
FAQ
ダウンロード
マニュアル
お問い合わせ
Q

漏れ電流計の測定レンジにより測定値が大きく異なる

A

測定している電流に、レンジ範囲以上の大きな高調波成分が含まれている場合、正しく高調波成分を除去できないことが原因です。

症状


漏れ電流計のレンジを変更したとき、レンジ間で測定値が大きく異なることがあります。

通常、レンジを変更しても、測定値に大差はありません。

計測器の設定条件

  • 対象機種: ACリーククランプメータCM4001, CM4002, CM4003
  • フィルタ: ON
  • レンジ: オートまたはマニュアル

対処策


この症状が発生したときは、上のレンジで測定してください。

例えば、60.00mAレンジと600.0mAで大きく異なる測定値が表示されたとき、上のレンジの600.0mAの方が正しい測定値となります。

詳細説明


ここでは一例として、次のような波形を、60.00mAレンジと600.0mAレンジで測定する場合で説明します。

  • 漏れ電流: 実効値5mA, 50Hz
  • 高調波成分: 波高値300mA, 1.5kHz
  • 計測器のレンジ設定: 60.00mA または、600.0mA
大きな高調波成分が含まれている漏れ電流のモデル図

60.00mAレンジの場合

ACリーククランプメータの仕様書より、クレストファクタが3であることがわかります。(クレストファクタについては、下記参照) これは、レンジの3倍にあたる180mAの波高値を持つ波形を測定できることを意味します。 それ以上の波高値を持つ波形を正しく測定できません。

この例では、高調波成分の波高値が300mAであるので、正しく測定できません。 計測器の内部回路では、下図のように、漏れ電流成分が失われてしまいます。

この波形にフィルターをかけると高調波成分を除去できますが、漏れ電流成分を取り出すことができません。

よって、測定値として、ゼロmAに近い、意味のない数字が表示されます。

60mAレンジで測定したとき、ゼロmAになる

600.0mAレンジの場合

クレストファクタが3であるので、レンジの3倍にあたる1800mAの波高値を持つ波形まで測定できます。

高調波成分の波高値が300mAであるので、正しく測定できます。

この波形にフィルターをかけると、高調波成分を除去でき、漏れ電流成分を取り出すことができます。

600mAレンジで測定すると、高調波成分を正しく除去できる

クレストファクタとは?


クレストファクタは、波高率と呼ばれる値で、波形の実効値と波高値との比となります。

正弦波のクレストファクタが1.41となる

正弦波の場合、実効値100Vのとき、波高値は141Vですので、クレストファクタは、1.4となります。

計測器の入力端子には正しく測定できる範囲として、仕様書にクレストファクタが定められています。

例として、電圧計の仕様が、600Vレンジ、クレストファクタ3である場合を説明します。

600Vレンジは、実効値600Vまで測定できることを意味します。

クレストファクタが3ですので、600Vの3倍にあたる1800V以下の波高を持つ、実効値600Vの波形を測定できることになります。 正弦波のクレストファクタは1.4ですので、600Vの正弦波を測定できます。

サービス、ご購入方法に関する質問など
まずはご相談ください
Page Information
HIOKI
Copyright ©2021 日置電機株式会社
アカウント作成
ログイン